2016年10月1日 医療講演会

 

注意:データは当時のものです

 

講師

下山 貴寛 先生

 

四日市社会保険病院 → 四日市羽津医療センター ・社会保険庁が解体され、地域医療機能推進機構 JCHOへ

四日市羽津医療センター 年表

http://yokkaichi.jcho.go.jp/%E6%B2%BF%E9%9D%A9%E3%83%BB %E6%A6%82%E8%A6%81/#年表

JCHOについて

http://www.jcho.go.jp/

 

【潰瘍性大腸炎の人口】

 

日本に16万人

世界第2位


【クローン病の人口】

日本に4万人
5ーASA製剤

ペンタサ(メサラジン)・・・クローン病・潰瘍性大腸炎
アサコール・・・潰瘍性大腸炎

ペンタサを二ヶ月4g服用すると、潰瘍が治る所見(画像) ペンタサ注腸を2週間続けたら、出血があるような状態から鎮静(画像) 潰瘍性大腸炎・・・10年後3%にガンの発生率

ペンタサ・アサコールをきちんと服用していれば89%が寛解維持 きちんと服用しないと60%が再燃する

 

【薬を飲むタイミング】

食後を守るのは日本人だけ
思い出した時に飲んでいい
きちんと1日の用量を飲むことが大事
一気に飲んでも問題ない

 

 

【エレンタール】

タンパク質は異物と認識されやすく炎症物質が発生し、炎症を起こすが エレンタールはアミノ酸なので、炎症物質が出にくい 吸収がしやすいので、腸へ負担をかけない 脂肪含有量が少なく、グルタミンが多く配合されている

どうしても飲みにくい場合は・・・

エレンタールを乳酸菌飲料と割ると飲みやすくなる
ゼリーにもできる どうしても無理な場合はエネーボやエンシェアなど他の栄養剤を試してみるのも有り

ステロイド

過去にステロイド投与をしたことがない患者は投与後、80%ほど寛解 ただし、五人に一人はステロイド依存になる可能性がある 総投与量が1万1mgを超えると副作用が多くなるとの報告もある

GCAP

ステロイド投与量を必要最低限に抑えることを目的としている ステロイドとの相乗効果も期待できる
副作用・・・72%が感じない
(副作用が出現しても症状は軽度) GCAPを併用をするとステロイドの投与量量が下がるというデータが出ている

免疫抑制剤

イムラン、アザニン、ロイケリン ステロイド依存を防ぐため、寛解維持に使用 効果はゆっくり

レミケード・ヒュミラ

ステロイドが効きにくい人、ドレナージ後の治癒などにも効果が認められる
3原則(羽津医療センター)
1.早期に寛解に導き、寛解を長期維持
2.ステロイドを漫然と投与しない
3.必要時には外科的手術を速やか

大腸全摘する理由】
1930年~50年頃、一部切除をした際、残った大腸に対して内視鏡検査することが難しく
内視鏡で経過観察できない部分がガン化する可能性が高かった

 

大腸全摘・・・3分割と2分割

栄養状態が悪い人・炎症が強い人・・・ 3分割
1回目 結腸全摘+人工肛門 2回目 Jポーチ形成 3回目 人口肛門閉じる

炎症が少なく、栄養状態がいい人
2分割 1回目 結腸全摘+人工肛門+Jポーチ形成 2回目 人工肛門閉じる

クローン病の手術

できる限り切除部位は少なくし、残存小腸を残す 狭窄部位には狭窄形成術を施し、狭くなった腸管を広げ、縫い合わせる

 

【質問】

1.ヒュミラを3年以上使っており第2次無効期が近い気がする
  ヒュミラも倍量投与が認められたので、第2次無効期と思われる場合、倍量を提案する

2.エレンタールを朝・昼で600ml飲んでいるがもっと飲んだほうがいいか? 600ml飲めているなら十分、一応900ml以上飲むと寛解維持率が多少上がるという データもあるが、調査期間中に900ml飲まなくなる人もいるためデータの信憑性が低い 今後も継続的に600ml飲むことをお勧めする

  
3.ヒュミラがたまに遅れるけど問題ないか?
  問題ない、人によっては1週間に1本打つ人もいるし、3日4日遅れたとしても
  血中濃度がいきなり低くなるようなことはない

4.残存小腸4m20cm、栄養障害はどこから? 4m20cmあるのであればまだまだ大丈夫、短腸症候群の目安は大体2m以下とされている ただ、これも人によるので1m以下になってもでない人はでない

5.下山先生のご実家は漢方薬局を営まれていますが、漢方はIBDに効果があると思いますか? 実は、漢方の治験が始まっている。漢方は寛解導入に効果があるのではないか? と期待されている。ただ、寛解維持に効果があるかどうかはまだわからない